エネルギーから人材支援まで。持続可能な社会に向けた多面的な取り組み
再生可能エネルギー、水供給、海外人材紹介、グランピングなど、さまざまな事業を展開しているサステナブルホールディングス株式会社。同社は、多角的に事業を展開することで現代が抱える幅広い問題に取り組んでいます。
環境や地域にも配慮。持続可能な開発に取り組む「再生可能エネルギー事業」
再生可能エネルギーは太陽光や風力、地熱、バイオマスなどを利用してつくられ、石油や石炭といった化石エネルギーと異なり枯渇することがありません。また、火力発電のように二酸化炭素を排出しないことから、現在注目されているエネルギーです。
同社は全国各地で太陽光発電所の開発・販売を行っています。太陽光発電は太陽光パネルを使用して太陽の光を電気に変換するため、パネルを設置する広い土地が必要です。その土地の仕入れから建設、販売、メンテナンスまでを一貫して手掛けています。
太陽光パネルを設置する土地は新たな森林を伐採するのではなく、かつて農地であったけども現在は利用されていない「遊休農地」が主な対象です。そのため、荒れ果てていた土地を整備したことで地域の人々から喜ばれるケースも多くあります。どうしても伐採が必要な場合は植林するなど、持続可能な開発を心がけています。
また、なかには日照条件や地形などにより太陽光発電に不向きな土地もあり、その代替として検討しているのが、電気を貯めておく蓄電所の建設です。蓄電所には、太陽光をはじめとする再生可能エネルギーから生成された電力を貯めることができます。電気を蓄えることで、電力が不安定な地域や災害時の停電にも対応できるようになるのです。
さらに蓄電所の建設に加え、寿命を迎えた太陽光パネルの処理施設の開発も検討しています。
水不足地域や災害被災地へ安全な水を提供する「水事業」
水事業は代表・茂木氏の「安全な水の供給が不足している地域で暮らす子どもたちに、学ぶ時間をつくりたい」という思いから始まり、具体的には空気から水を生成する機械elixir(エリクサー)の製造・販売を行っています。
空気中には水分が含まれており、elixirは空気を冷却・凝縮することで水をつくり出します。さらに不純物を取り除き、滅菌消毒をすることで飲み水を生成します。適度な湿気と電気があれば、どこでも飲み水をつくり出すことができるのです。
これまでナイジェリアやインドネシアといった、安全な水へのアクセスが悪い地域へelixirを提供してきました。例えば、ナイジェリアのある病院では手術室で使用する水が不十分でしたが、elixirの導入により清潔な水で器具を洗浄できるようになり、感染症のリスクを減らすことができました。
また、日本は水資源が豊かな国ですが、災害時には水が不足する事態が発生してます。実際に2024年1月に発生した能登半島地震を受けて、石川県へelixirを寄贈しています。
世界の水不足地域や災害被災地では電力供給も十分でないことが多いため、その対策として、太陽光発電を利用して空気から水を生成する実証実験を行うなどの取り組みも行っています。
外国人へ無償の学習機会と仕事を提供する「海外人材紹介事業」
「子どもたちに学ぶ時間をつくりたい」と水事業を立ち上げた代表の安冨氏は、「教育にも貢献したい」という考えも抱いていました。それを形にしたのが海外人材紹介事業です。人手不足に悩んでいる国内の企業へ、日本で働きたい外国人を紹介しています。
この事業の大きな特長は、フィリピン、インドネシア、バングラデシュといったアジア各地で日本語学校を自社運営し、無償で学習機会を提供している点です。そのため経済的な余裕がない学生でも学べる環境が整っています。一方で、入校前に面談を実施し、日本で働く意思や意欲をしっかりと確認できた人だけが入校できます。
厚生労働省の「直接雇用の外国人労働者の入職、離職状況」の調査によると、外国人労働者の離職率は年間約45%と高い状況ですが、同社は離職率を低く抑えています。2022年度に入職した150人中、退職したのは3人で離職率はわずか2%でした。
これは、入校・入国時にスクリーニングを行っていることに加え、きめ細やかなフォロー体制が理由として挙げられます。同社には母国語を話せるスタッフが常駐しており、入国時の送迎、新生活のサポート、入職後の定期的な面談などを行っています。また、働き始めた外国人を対象に日本語のオンラインスクールも開講しています。このようなフォローが、安心して働き続けられる環境づくりに繋がっています。
外国人雇用に不安を抱く企業は少なくありませんが、実際に紹介してみると「勤勉で一所懸命働いてくれる。もっと早く採用すればよかった」という声も寄せられており、教育や雇用の面で貢献している事業です。
コロナ禍の宿泊施設支援から始まった「グランピング事業」
2021年よりグランピング施設glanpark(グランパーク)の運営を開始しました。きっかけはコロナ禍に取引先の宿泊施設から宿泊客が減り困っていると聞いたことでした。集客に困っている施設は地方に多く、広い敷地を保有しているケースが少なくありません。そこで当時のキャンプ・アウトドアブームに着目し、宿泊施設の敷地内にグランピングドームを設置するこの事業をスタートさせました。
資材の仕入れ、管理、集客などの費用はすべて同社が負担し、宿泊施設側が対応するのは現地でお客様応対のみ。宿泊施設側からすると客室がいくつか増えた程度に近い感覚で、無理なく運営できます。
グランピング宿泊客は、アウトドアを楽しみながら温泉や朝食などの提携先サービスも利用できます。グランピング利用をきっかけに旅館に宿泊するケースや、逆に旅館利用者がグランピングに興味を持つケースも増え、相互にメリットが生まれています。
また、グランピングの導入により、宿泊施設側で新たな人材を採用に至ったこともあり、地域の雇用に貢献できた事例もあります。
現在グランピング施設は北海道から沖縄まで全25施設まで拡大し、2023年には沖縄県に初の自社運営施設をオープンさせました。2025年には2つ目の施設がオープンする予定です。今後は自社運営で得たノウハウも活かしながら、提携先のグランピング施設の運営向上や地方創生に貢献していきます。
石川・能登半島地震の復興も支援
同社は2024年1月に発生した石川県の能登半島地震の復興も支援しています。石川県にはグランピングの提携旅館があり、地震により本館が傾き、解体するしかないほどのダメージを受けたそう。旅館の担当者とやりとりをしているなかで、大きな被害を受けた地域では電気や水が止まっていることを知り、何か支援ができないかと社内で検討を始めます。
これまでのツテや繋がりをいろいろ当たったことで、石川県の知事室室長と話をする機会を得られ、石川県庁へelixirの寄贈に至りました。そのほかにも羽咋市新保地区への義援金の寄付、復旧・復興工事に携わる業者を支援するためのプレハブの仮設住宅の設置も支援しています。この出来事は社内でも、水や電気の重要性を改めて再確認した機会になりました。
サステナブルホールディングスは水やエネルギー、教育や仕事など、人々が現代社会で生きるために不可欠なものを提供しています。「今が未来を創る」という思いのもと、今後も人々の暮らしと地球環境への貢献に取り組んでいきます。