地方創生への取り組み例【滋賀県彦根市が行った街づくりのきっかけ】

地方創生への取り組み例【滋賀県彦根市が行った街づくりのきっかけ】
SOCIETY

歴史のある街には様々な時代の建物が残っています。

江戸時代に遡るものもあれば、明治・大正時代のものもあり、それぞれ、その当時の生活や、風習、建築技術、好まれたデザインを知ることができます。

歴史的価値のある建物を保護することは大事です。

しかし、それだけでは歴史的価値のある建物の周囲にビルが立ち並び、雰囲気が壊れてしまうなんてことになりかねません。

そこで、重要な建造物を一つ一つ保護するのではなく、地域全体を保護することで景観などの保存を目的とした「重要伝統的建造物群保存地区(伝建地区)」というものがあります。

歴史を残す重要伝統的建造物群保存地区とは

滋賀県彦根市の歴史的建物

伝建地区に選ばれている有名なところでは、下記などがあります。

  • 金沢市の江戸時代の街並み
  • 長野県妻籠の宿場町
  • 岐阜県白川村の合掌造りの村落
  • 京都市の産寧坂、祇園の街並み
  • 萩市の武家や港町

令和3年8月2日現在、126地区(43道府県104市町村)が選ばれています。江戸時代の武家町や商人町、明治大正の街並みなどの雰囲気が残り、観光地として有名なところが多いですね。

選ばれるには、市町村などの地方自治体に働きかける必要があります。市町村が「伝統的建造物群保存地区」を決定し、地区内の保存事業を計画します。国は市町村からの申出を受けて、価値が高いと判断したものを「重要伝統的建造物群保存地区」に選定するという流れです。

歴史的建物を修復している様子

伝建地区に選ばれると、市町村の保存・活用の取組みに対し、文化庁や都道府県教育委員会から指導・助言を得られるようになります。また、修理・修景事業、防災設備の設置事業、案内板の設置事業など市町村が行う事業に対して、補助や税制優遇措置などの支援がうけられます。

滋賀県彦根市の取り組み【伝建をどう生かすのか】

彦根城

滋賀県の北東部に位置する彦根市。

彦根城やひこにゃん、鳥人間コンテストなどで有名な都市です。彦根駅から徒歩15分ぐらいのところにある河原町芹町には花しょうぶ通りという通りがあり、古くからの商家が立ち並んでいます。

2009年度から伝統的建造物群の保存対策調査が実施され、2016年に伝建地区に選ばれました。滋賀県彦根市の歴史的建物

外からだと、建物の2階部分が非常に低いように見えます。これが町家の特徴のひとつです。

2階部分を「厨子」と呼びますが、偉い方が通るときに上から見下ろすと不敬に当たるということで、狭い造りにしたそうです。歴史が古いほど狭くなっており、この通りの建物は厨子の狭さから明治時代と想定される建物が多いそうです。

江戸時代の建物はもっと狭いとは驚きです。

伝建地区に選ばれたことで、景観に合わない建物を建てることはできなくなりました。開発の制限がある一方で、建物の改修や保全には補助金などがおりるようになっています。

伝建地区に選ばれたあとの変化とは?

滋賀県彦根市の歴史的建物

伝建地区に選ばれてから5年。街はどのように変わっていったのか、花しょうぶ通りに住んでいる方に聞いてみました。

伝建地区に選ばれたことで、一番大きな違いは「人の流れ」とのことです。

伝建地区に選ばれたことで、人の流れが増え、それに合わせてお店なども増えて来ているそうです。人気店もでき、さらに人の流れが増えるという相乗効果が生まれています。

かき氷「百笑」

人気店の一つ、かき氷の「百笑」さん。

筆者も大好きなお店ですが、夏は予約をしないと入れません。そのほかにも戦国もののお土産物を置く「真・戦国丸」さんでは石田三成のお土産ものが人気だそうです。

みんなの食堂

地元の方に人気なのが「みんなの食堂」さん。

その日その日で店長さんが変わり、お弁当の販売などを行っています。時間によってはレンタルスペースとして講演やワークショップも開かれています。

変化には10年かかるとも言われる

滋賀県彦根市の歴史的建物

伝建地区に選ばれた効果が実際に見えてくるのには、10年かかると言われているそうです。

彦根の人の流れは、彦根城を観光し、隣接するキャッスルロードと四番町スクエアで土産物や飲食を楽しむというのがメインとなっています。

花しょうぶ通りはメインから外れているので、個々の店舗が頑張るだけでなく、観光客を呼び込む施策が必要になってきます。

そのためには、彦根市全体での計画が必要です。

彦根市のチェックポイントをめぐるラリーのルートに入れてもらうなどして、人の流れを作ったりしたそうです。観光案内用のパンフレットに入れてもらうことや、観光案内所での説明など、花しょうぶ通りだけでなく、さらに大きい対策が必要になります。

彦根市全体の観光客が増えるような大きなビジョンが求められます。伝建地区に選ばれただけで満足できないというわけです。

まとめ

滋賀県彦根市の歴史的建物

伝建地区に選ばれただけで地域が活性化するわけではありません。伝建地区を生かす方法が必要になります。

花しょうぶ通りは伝建地区に選ばれて5年。これから電柱の地中化を行う計画があり、風景も大きく変わっていくようなので、成長途上にあると言えるでしょう。

これからの変化にも期待したいです。

この記事をシェアする

TAGS

この記事書いた人

Check more...

環境に優しい経済へ。サーキュラーエコノミーとは?概念や事例を紹介
SOCIETY

環境に優しい経済へ。サーキュラーエコノミーとは?概念や事例を紹介

無印良品ではじめるエシカルな生活│国内で人気のエシカルグッズ5選紹介
SOCIETY

SDGs未来都市とは?2022年最新の取り組み例も交えて紹介します

SDGsに対する関心は年々増加中!大学生だからできるSDGsの取り組みとは?
SOCIETY

SDGsに対する関心は年々増加中!大学生だからできるSDGsの取り組みとは?

エシカル消費で注目の「フェアトレード」商品例や認証マーク、課題を解説
SOCIETY

エシカル消費で注目の「フェアトレード」商品例や認証マーク、課題を解説