LGBTQ+が抱える医療現場での悩みを紹介―製薬業界5社合同勉強会

LGBTQ+が抱える医療現場での悩みを紹介―製薬業界5社合同勉強会
SOCIETY

アストラゼネカ株式会社、アッヴィ合同会社、アラガン・ジャパン株式会社、アレクシオンファーマ合同会社、サノフィ株式会社の5つの製薬会社は6月9日、「LGBTQ+ × ヘルスケアの現状と課題」と題した5社合同勉強会を開催しました。5社のべ800人の社員が勉強会に参加しました。

勉強会では、まず、株式会社アカルク代表取締役社長の堀川歩氏が登壇。LGBTQ+に関する情報や、置かれている環境などを解説しました。

その後、サノフィから4月に開催された“性”と“生”の多様性を祝福する祭典「東京レインボープライド2023」に出展した際にブースで集めたLGBTQ+当事者の声「LGBTQ+の医療・医薬品への希望・要望」の集計結果を発表しました。

4人に1人が「パートナーを家族として認めてほしい」

白い旗に虹色のペイントとloveisloveの文字

集まった当事者の声では、約4人に1人が「パートナーを家族として認めてほしい」としていました。家族として認められないことで、重要な告知や治療方針の説明のときに同席できなかったり、お見舞いなどが制限されてしまったりすることがあり、それが不満となっているようです。

また、「医療関係者のLGBTQ+理解向上」についても5人に1人が挙げています。そのほか「院内での名前呼びをやめてほしい」「性別欄の必要性を考えてほしい」「性別による衣服の色固定をやめてほしい」など、病院内の制度や医療制度への要望、医療従事者への理解や、医療業界に求める声が多く見られました。

この5社は、LGBTQ+の啓発アライアンス“Pharma for PRIDE”を組織しており、各社員がLGBTQ+に対し正しい知識をもって言動や行動を意識し、誰もが安心して働ける心理的安全性の高い職場・業界を実現することを目指しています。今回の5社合同勉強会も「Pharma for Pride」の活動の一環です。

今後、Pharma for Prideとして下記の活動を中心に展開していくということです。

  1. 今後もプライド月間である6月と人権週間である12月に合同勉強会を継続していく
  2. 医療を受ける側、提供する側におけるさまざまな課題に対して他社や他業界と幅広い視点から連携し、活動の幅を拡大していく
  3.  啓発の輪を広げるためにLGBTQ+関連のイベントへの参加や開催を継続し、アライネットワークの拡大に努める

グローバルでも、マイノリティの人たちは医療に対してネガティブな経験が多い

手に虹色の鉢巻きを巻き付けている

勉強会の中では、サノフィがグローバルで行ったマイノリティの人たちの医療への信頼度調査も発表し、マイノリティの人たちは、医療への信頼度が低い傾向にあることを説明しました。

同社がリリース発表した詳細によると、少数民族やLGBTQ+、障がい者などのマイノリティに属する半数以上の人たちが医療従事者や医療制度に対するネガティブな経験を1回以上していました。

日本では特に、障がい者がネガティブな経験をしたことが多く、障がい者以外にも、在日外国人・少数民族、性別を「その他」とした人、LGBTQ+の人も同様な経験を多くしていました。

障がい者が経験したネガティブな内容については「説明が不十分だった」が一番多く、「話を聞いてもらえたと感じられなかった」「結果が期待したものと違った」の順となっており、健常者と比べても割合が高くなっています。

5社合同勉強会調査結果グラフ

▲図1 医療従事者や医療制度に対する信頼が損なわれた理由は何ですか?

また、複数のマイノリティの属性に所属している人は、ネガティブな経験をしたと回答した割合が高くなっています。

5社合同勉強会調査結果グラフ

▲図2 医療従事者に対する信頼が損なわれた経験をしたことはありますか?

5社合同勉強会調査結果グラフ

▲図3 医療制度に対する信頼が損なわれた経験がありますか?

フランスのLGBTQ+の人たちを取り巻く環境は良い?

会議を上から見た図

今回のサノフィのグローバル調査は、アメリカ、イギリス、フランス、ブラジル、日本で実施しました。その中で特徴的だったのは、フランスです。

日本以外の国々でも、マイノリティに属する人たちが医療従事者や医療制度についてネガティブな経験をしているのですが、フランスのLGBTQ+の人たちについては、非当事者との間に差がでませんでした

フランスのみ、このような結果がでたというのは、様々な制度を整備しているからなのでしょう。どういった制度によってこのような差が出ているのかを深堀りした調査をすると、LGBTQ+の人たちが医療を受診しやすくなったり、ポジティブな経験をするようになったりするようなことが見えてくるのではないでしょうか。

なお、他の国の結果を見ると、ブラジルが5か国の中で最も医療への信頼が低い結果となっていました。アメリカは障がい者と性別を「その他」と回答した人たちが、イギリスでは2つ以上のマイノリティグループに属している人たちが、医療への信頼が低い傾向にありました。

まとめ

青い空をバックに指で虹色のハート型のものを持っている

日本だけでなく、世界的にも未発展な医療業界のマイノリティに属する人たちへの理解。
すべての人にとって、ネガティブな経験が少しでもなくなるよう、今後様々な制度を整備していく必要があります。

制度の整備を実現するためにも、まずは私たちがお互いに理解しあうところからはじめていきたいですね。

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