金沢工業大学発!SDGs×ボードゲームで教育を楽しくする、株式会社LODUの革新
地方大学の学生団体から、数少ない学生スタートアップに挑戦
ゲームを使い、意識変容・行動変容を促すことに取り組む株式会社LODU。金沢工業大学の学生団体から活動を開始し起業に至ったユニークな会社です。創業メンバーは、金沢工業大学の研究員との二足の草鞋で双方の事業に取り組んでいます。
SDGsやサステナビリティといったテーマでゲームを開発することになったのは、社会課題に取り組む教授との出会いがきっかけでした。
現在の共同代表2名でスタートした取り組みは、クラスの友人や他学科の学生を巻き込み、大学3年時には50人ほどの学生団体に成長。そして大学院に進学し、修士2年目の2021年6月にコアメンバー5名で会社を設立しました。翌年2022年に大学院を卒業し、現在は会社経営のかたわら、金沢工業大学の研究員としてイベントの共同開催やサステナビリティや教育に関する研究を行っています。
SDGsは「持続可能な開発目標」であることから、経済・社会・環境の三側面のバランスを取ることが重要です。ボランティアではなく、会社設立した理由もそこにあります。
なぜ「対戦型」ではなく「協力型」のゲームなのか?
LODUでは、主にボードゲームの開発やボードゲームを活用したイベント・研修を開発しています。
もともと創業メンバーたちがゲーム好きだったこともあり、事業をスタートしています。取り組みを進めている中で、ゲームは教育と相性が良い、ということが明らかになってきました。
デジタルゲームはオンラインでつながれるので、たくさんの人と広く交流することもできるなど良い点も多いです。ただし一方で、勝敗においては、反射神経が良い人・ゲームセンスが高い人が有利になるなどの点において差が出てしまうことがあります。
しかし、LODUが作るゲームは、基本的に勝ち負けをつけるものではなく、協力型になっています。たとえば4人でプレイするのであれば、その4人でひとつのゴールを目指していく設計になっているのです。ゲームには「称号」が設けられており、何回も楽しめる工夫も取り入れられています。
ゲームを通してチームビルディングの重要性に気付ける、また自分の意見や行動がゲームのフィールドに反映されるために主体的に行動する意味を確認することに役立つような仕組みになっているのです。
最近では、オンライン上でボードゲームが遊べるゲームなども登場してきていますが、やはりこれまでの経験上、みんなでテーブルを囲んでプレイした方が、盛り上がりが感じられるといいます。
「デジタルゲーム」と「アナログゲーム」には上記のような違いがありますが、幅広い人にLODUのゲームを知ってもらうために、開発したゲームの無料公開や、一部のボードゲームはアプリ化し一般公開をしています。
「THE SDGs アクションカードゲーム 「X(クロス)」とは?
今回は、LODUのSDGs ゲーミフィケーション教材のひとつ「THE SDGsアクションカードゲームX(クロス)、(以下クロス)」をご紹介します。
クロスは、金沢工業大学の学生時代に開発した一番最初のゲームです。
SDGsに取り組む過程でよく直面する「トレードオフ」について学ぶゲームです。一方を得ようとすると他方を犠牲にしなければならないという「トレードオフ」を、さまざまな「リソース」を掛け合わせたアイデアによって解決していきます。
SDGsを考える上で重要なキーワード、「トレードオフ」。 たとえば「環境のためにエアコンを使わないようにしたら熱中症になりかけた」という状況は、SDGsの目標でいうと「13.気候変動に具体的な対策を」を解決しようとして「3.すべての人に健康と福祉を」に反してしまうトレードオフ状況です。このような難問に対して、自分が持っているリソースを組み合わせることで解決していかなければなりません。
現在では、様々な企業版、自治体版、さらには英語版をはじめ、スペイン語圏版やブータン版など、世界中で活用されているゲームに成長しました。
【遊び方】
問題を提起する「トレードオフカード」と問題解決に使うアイテム「リソースカード」の2種類を使って遊びます。
メンバーからゲームマスターを1人選び、そのゲームマスターはプレイヤーに「リソースカード」を1人3枚配布します。そして「トレードオフカード」を1枚めくり、問題を提示します。
プレイヤーは、アイデアが思い浮かんだ順番に手元にある「リソースカード」を使ったアイデアを考えて提案していきます。最初のプレイヤーの提案を受けて、アイデアを重ねていきます。相乗効果が生まれるアイデア、弱い部分を補完するようなアイデアであればあるほどより問題解決につながるでしょう。そして最後に全員の提案をまとめて拍手で終了します。
【例】
トレードオフカード「環境のためにエアコンを使わないようにしたら熱中症になりかけた」
リソースカード
- リソースカード「有名人」
メディアやSNSなどを使って熱中症の危険と健康を犠牲にするような環境対策ではなく他の方法を考えようと呼びかける。 - リソースカード「料理」
有名人の呼びかけに答えて、熱中症対策にもなる火を使わない料理を作り、エネルギーの節約をしながら家族や友人たちとその料理を食べながら環境問題についてできることを考える。 - リソースカード「eラーニング」
有名人の呼びかけに答えて、その他の対策をeラーニングで学び、それぞれが周囲の人と学んだことをシェアして考える機会をつくる。
みんなでコミュニケーションをとり協力しながら、自由でポジティブな発想をしたり、それを表現していくことで一見難しく思えるSDGsを身近なものとして理解することができます。
現在は企業向けのゲーム開発や研修事業が収益の中心になっているものの、会社創業時から教育事業に対しては強い思い入れのあるLODU。今後は個人向け(to C)のビジネスにも力を入れていきたいと考えています。
これからも子どもから大人まで楽しみながら社会課題について学べるゲームを提供していきます。