海外旅行先として日本で人気の台湾。コロナ前の2019年に台湾を訪れた日本人は約1,600万人と多くの人が訪れており、2024年も引き続き人気の旅行先です。グルメや文化などさまざまな魅力のある台湾ですが、注目したいのが持続可能な観光の実現に取り組む和平島です。

本記事では和平島の概要やその魅力について解説します。

台湾の和平島とは

和平島は台湾北部に位置する港町・基隆市（Keelung City／キールン）にある小さな島です。台北からバス、または電車で約1時間の距離にある基隆市。台湾第2位の貨物取扱量を誇る基隆港を有し、古くから貿易と物流の重要な拠点として発展してきました。

和平島は基隆市の東北部に位置し、基隆港の玄関口とされています。日本では江戸時代にあたる1626年にスペインの支配下におかれ、1642年から1668年にかけてはフランスに占領されました。その後1895年～1945年にかけては日本が統治し、この期間、和平島は「社寮島」と呼ばれます。

統治時代には琉球人が移住し、一本槍でカジキを刺す「突きん棒漁」の漁法や造船などの技術を伝え、共存して暮らしていました。このような歴史から和平島はさまざまな歴史文化を残しています。現在では、「和平島地質公園（和平島公園）」が設立され、ここを中心に持続可能な観光地づくりが進められています。

観光地化は良い面もある一方で、オーバーツーリズムなどといった社会問題も引き起こす可能性があります。観光地の明暗について詳しく知りたい方は下記をご覧ください。

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和平島地質公園の見どころ

和平島地質公園は「和平島を国際的な島にしたい」という地元の若者たちによって、2018年に設立されました。環境保護と経済発展のバランスをとりながら、持続可能な観光の実現を目指して運営されています。ここでは和平島地質公園の見どころについて解説します。

珍しい地形や景観

和平島の魅力のひとつに、その独特の景観にあります。潮流や波が長い年月をかけて海岸や海底を少削り取っていく「海食」によってうまれた奇岩は、日本ではなかなか見ることができません。また、豆腐岩や千畳敷といった、海の浸食によってできた地形も見どころです。自然の力強さと美しさを感じられます。

体験ツアーやアクティビティ

和平島の文化や歴史、景観の変化を解説してくれる無料ツアーのほか、2,300万年前に形づくられた地質景観を評論家が解説するツアー、原住民アミ族の暮らしや食事体験など、さまざまなツアーやアクティビティが用意されています。

海水浴

園内には海水浴を楽しめるエリアがあります。海水浴といえば日本では砂浜のビーチを思い浮かべますが、和平島地質公園では護岸のような場所から海に入ります。プールのように区切られたスペースになっており、サンゴ礁やウニ、海藻などの海の生き物と触れ合うことができます。

水深は約2.5mと深いですが、小さな子どもが楽しめる砂浜エリアや、ペット専用の海水浴エリアも用意されており、家族連れやペット連れでも十分に楽しめる環境が整っています。

その他にも琉球人との交流の歴史を垣間見ることができる記念碑や、基隆でとれた天草をつかった料理を味わえるレストランなどもあります。

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和平島地質公園のサステナブルな取り組み

和平島地質公園は、2020年にアジア初となる英国規格協会（BSI）から「ISO 20121（イベントサステナビリティ・マネジメントシステム）」の認証を取得しました。

ISO 20121は、社会的・経済的・環境的要素を考慮した、持続可能性のあるイベント開発・運営を行う組織に向けて発行される国際規格です。この認証を取得したことで、和平島地質公園はさらに持続可能な観光地としての地位を確立しました。

和平島地質公園のサステナブルな取り組みに注目することで、より深い体験ができます。

ゼロウェイスト（廃棄物ゼロ）を目指す

その豊かな自然環境を保護するため、園内でのゴミの投棄は禁止されています。また、プラスチック梱包材の削減・再利用、使い捨ての紙コップの代わりにシェアカップの使用、傘やレインコートの無料レンタルなどを実施しています。また洗剤による水汚染の対策として天然塩を使用。そのほかに使わなくなった本や紙袋の提供も呼びかけるなど、多岐にわたる取り組みが実施されています。

地元の高齢者を起用した観光ガイド

体験ツアーやアクティビティが豊富だと前述しましたが、この土地の歴史や環境を解説するガイドとして、地元の高齢者を起用し地域の雇用を生み出しています。環境を保護するだけでなく、地域で暮らしている人たちと共存する観光に取り組んでいます。

環境に配慮したお土産品の販売

園内にあるビジターセンターで販売されているのは、台湾産の竹材を使用した歯ブラシやカップ、地元で採れた名産品を使ったお菓子など。ひとつひとつのアイテムが、地域活性に役立つか、環境保護に貢献できるかという視点でセレクトされています。また、店内には海洋ゴミを用いたアート作品も展示されています。

まとめ

今回は持続可能な観光に取り組む、台湾・和平島地質公園について解説しました。広い敷地内にゴミ箱などはほとんどなく、ゴミが出やすいフードスタンドなどもありませんでした。少し不便に感じることはあるかもしれませんが、環境を保護するという園側の目的を知っておくことで、理解し、楽しめるのではないでしょうか。

また、和平島地質公園を訪れることで、世界的に観光の在り方がサステナブルな方向へ変化しているのを肌で感じられます。アジアを中心にさまざまな国から観光客が訪れている和平島地質公園。台湾を訪れた際に訪れてみてはいかがでしょうか。

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