捨てられるものに企業の意志を映す「Social good」の新しい伝え方 – 株式会社ツワモノ
サステナビリティへの取り組みは、企業にとって特別なものではなくなりつつあります。一方で「何に取り組むか」と同じくらい難しいのが「それをどう伝えるか」です。同社が企業との仕事を通して目にしてきたのは、社会的に意味のある活動をしているにもかかわらず、その価値が十分に伝わっていない企業の姿でした。
たとえば、某大手醤油メーカーの取り組み。醤油の残りかすや出汁がらを捨てずに活用して家畜の飼料などへ循環させているにもかかわらず、その情報はWebサイトの下層ページに小さく掲載されていたといいます。
「もっと表立って伝えてよい取り組みなのに、もったいない」。そこに同社が感じていた課題があります。一方で、特に中小企業は採用競争やブランドの差別化にも直面しています。そうした問いへの答えの一つが、同社が掲げるSocial good Promotionです。
廃材を処理するのではなく「企業の姿勢」を形にする

第一弾となる「Social good Tile」は、企業から生じる廃材をタイルへと生まれ変わらせる取り組みです。企業から送られた未使用材料や端材などを細かく粉砕し、ホワイトセメント、水、薬剤などと混ぜて型へ流し込みます。固めた後に表面を研磨し、タイルとして仕上げます。
混ぜ込む廃材によって色も模様も異なります。同じ工程で作っても、完成した表情は一つひとつ違う。これまで捨てられていた素材がその企業にしか作れない意匠へ変わっていくのが魅力です。同社が目指しているのは、これまで捨てていたものを別の価値へ変え、その行為そのものを通じて「この会社は社会にどう向き合っているのか」を表現することです。
そのため、同社の仕事は製造一つではなくタイルの企画や制作、施工に加え、Webサイトや動画、SNS、プレスリリースなどを通じた情報発信までを一つの流れとして設計。廃材は単なる材料ではありません。なぜその素材を選び、なぜ新しい形にし、そこから何を社会へ伝えたいのかまで含めて初めて、「アップサイクル」は企業のストーリーになります。
現在は、製造業の廃材を使ったエントランス装飾、ペレットストーブの燃えかすを使ったショールーム用タイル、コーヒーかすを使ったタイル、ノベルティ制作で不要になったボールペンのプラスチック部分を活用したタイルなどが進んでいるといいます。
ものづくりの工程に「福祉」という価値を

Social good Tileには、「福祉」というもう一つの軸があります。
タイルづくりでは材料を混ぜ、型へ流し、振動を与えて内部の空気を抜き、固まった表面を研磨します。現在の試作はツワモノ側で行っていますが、これには多くの人の手が必要です。そのため本格的な受注後は、タイルの製造工程をB型就労支援のWahahaへ業務委託する計画となっています。
ツワモノが企画やPRを担い、Wahahaがものづくりを担う。それぞれが得意とする仕事を持ち寄ることによって、一つの商品にアップサイクルと福祉、そして企業コミュニケーションという複数の価値を重ねています。
ただ、ここでのプロモーションは慎重になる必要があります。サステナビリティをいくら前面に押し出したいからといって「障害のある人が作った商品ということだけ」を出さないことです。
製造を担う仕事としてWahahaへ委託し、事業として自然な形で企業活動と福祉をつなぐ。社会貢献を特別なものとして切り離すのではなく、仕事の流れそのものの中に組み込んでいく考え方です。
さらにSocial good Promotionの対象は、廃材が発生する企業だけではありません。自社では廃材を持たない企業であっても廃材を持つ企業と組み合わせ、複数社によるプロジェクトをつくる構想もあります。
タイルの先へ。広告会社だからできるソーシャルグッドを

「Social good Studio TSUWAMONO」は拠点兼ブランド名、「Social good Promotion」はサービス名、そして「Social good Tile」は第一弾の商品です。
つまり、タイルはあくまで最初の一歩。同社は、今後はタイル以外にも商品や取り組みを広げていきたいと考えています。
軸に置いているのは「広告会社だからできること」。クリエイティブにプロダクトと福祉を掛け合わせ、自社だからこそ作れる価値を探し、数ある中小企業のサステナブルな魅力を発掘していくことが、本事業の核です。
サステナビリティは、ともすると「何を達成したか」「どれだけ削減したか」という数字だけで語られがちです。もちろん重要な指標ではありますが、企業が何を大切にし、社会とどのような関係を結ぼうとしているのかは、数字だけでは伝わりません。
捨てられるはずだった素材を拾い上げ、人の手で別の形へ変え、その背景まで社会に届ける。Social good Tileが形にしようとしているのは、タイルだけではなく、企業の姿勢そのものといえるでしょう。







